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スウェーデンは、蒸留酒1リットル、ワイン1リットル、高アルコール濃度ビール2リットルという従来の輸入割当てを続けることを希望した。交渉の結果、1995年と1996年は、他のEU諸国からの帰国の際に持ち込める量を蒸留酒1リットル(あるいはスパークリングワイン3リットルか、フォーティファイトワイン3リットル)、テーブルワイン5リットル、ビール15リットルとするということで妥結した(図1)。
この協定は税に関する協定の一部で、1996年末までに再交渉が行われることになっている。「税に関する一括条件」交渉が1996年末までに合意に達しなかった場合、1997年1月1日以降の扱いをどうするかについては意見が食い違っている。スウェーデン(及びフィンランド)側は、現在の特例措置を続けるべきだとし、欧州委員会は特例措置の期限は切れるものとし、EU割当て基準を発効すべきだとしている。

 

アルコール税の変更
スウェーデンのEU加盟に際し、EUの規則に沿ったアルコール税を導入しなければならなかった。蒸留酒に関しては、全ての飲料に対してアルコール1%当たり同じ税額でなければならない。但し、税額については各国の決定に任されている。
実際には、アルコール度数40%以下の蒸留酒の税額(及び価値)が下がり、40%以上の飲料は上がった。変更は大幅なものではなく、おそらく各種飲料の消費にわずかな影響を与えただけであった。
ワイン(及びリンゴ酒)については、5つの階級を通じてリットル当たり同じ税額とした。この結果、アルコール度数8.5〜10%のワインの税額が上がり、13〜15%と20〜22%のワインにかかる税額が引き下げられた。蒸留酒に関しではこのような変更は大きなものではなかった。
ビールについても、アルコール濃度1%あたり同じ税額という蒸留酒と同じ原則を適用しなければならない。この規則はスウェーデンの立場からすると非常に問題であった。これまで、高アルコール濃度ビールに対する税額は、低アルコール濃度ビールより高かったからである。
スウェーデンは、1995〜1997年の3年間は、ビールのアルコール強度によって税額を変えることを認められているが、1998年1月1日以降は、EUの規則に従ってビール税を設定することになっている。現時点では、(食料品店で販売されている)アルコール度数3.5%程度の通常のビールはアルコール度数にかかわらず容量1リットル当たり1.21SEK、(小売り独占事業の店で販売されている)高アルコール濃度ビールについては2.62SEKと約2.2倍もの大きな開きがある。
1998年1月1目以降は、通常のビールの税額引き上げと高アルコール濃度ビールの税額引き下げのどちらか一方あるいは両方の措置を行わなければならない。どのような結果になろうとも、高アルコール濃度ビールの消費増大を促すことになろう。

 

 

 

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